1.土器 |
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中学生の頃、縄文土器とか弥生式土器と言う名を勉強しました。現在の陶器・磁器・炻器などの焼き物との大きな違いのひとつが焼成の温度です。土器の時代には現在のような窯がありませんでした。当時の『野焼』の焼成温度は700~800℃程度で、陶器や磁器のような強い焼き物を作れなかったのです。そして、釉薬を施すという技術もありませんでしたので、その時代に作られた器は水の漏る器だったのです。 |
2.土師器(はじき) |
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土師器とは古墳時代以降の素焼土器の総称です。 |
3.須恵器(すえき) |
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古墳時代以降の1000℃を越える高温で還元炎焼成された灰色や灰黒色の焼き物で、朝鮮半島から5世紀中ごろに伝わったものを言います。
須恵器系土器とは赤焼土器とも言われ須恵器製作技術で作られた轆轤(ろくろ)使用の素焼土器で、杯・碗などの焼き物があり、東日本で須恵器の減少によって10世紀から12世紀まで続きました。
須恵器系陶器とは須恵器製作技術を継承し作られた中世陶器を言い、主に西日本・関東地方・東北地方に見られる壷・甕・擂鉢を主体とした窯業生産地の製品を言います。 |
4.瓦器(がき) |
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土師器の流れを汲む焼き物で、燻焼して炭素を吸着させた灰黒色の土師器に比べ保水性が高い焼き物です。平安時代後期から室町時代に使用されていました。 |
5.陶器 |
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朝鮮半島より窯が伝わったことで、土器よりもはるかに高い温度1100℃~1200℃で焼成することが可能になりました。その技術によって、土器よりも硬く焼き締めた陶器と呼ばれる焼き物が出来上がります。
『萩の七化け』と言う言葉を耳にしたことございませんか?
陶器は釉薬(上薬)を施さない裸の状態では吸水性があります。生地には柔らかで温もりがあり、透光性はありません。そして生地の中には無数の小さな空気が含まれています。よって、保温性に優れています。温度が伝わり難く、器の中の物が冷め難いです。 |
6.磁器 |
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磁器は原料が陶器や炻器と異なり陶石・長石・珪石・カオリンを使用し、陶器の『土もの』に対し磁器は『石もの』と言われたりします。
磁器の生地は基本的に白か白に近い色で、強度を持たせる目的でアルミナを含ませた物以外の磁器は光を透過します。磁器は陶器より高い1300℃前後で焼成され、叩いた時の音は陶器の鈍い音に比較して高く硬く澄んでいますが、陶器と比べ強度がありますが、熱を伝え安く保温の面では陶器に劣ります。
ボーンチャイナも磁器の種類に属します。
磁器には吸水性がなく、釉薬を施してありますので、汚れや臭いがつきにくく、薄手でも陶器より強度がありますので、日常の食器としては非常に使い安い素材です。
磁器は日本では九州の佐賀県有田で初めて焼かれましたが、磁器の製造方法は次第に広がり現在は石川県の九谷焼・京都の清水焼・岐阜県の美濃焼など全国各地で生産されています。 |
7.炻器(せっき) |
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陶器や磁器に比べ耳慣れない名前だと思いますが、時に『半磁器』などと言われ、信楽焼や備前焼、常滑焼の朱泥の急須、またウェジウッドのジャスパーウェアなどが、炻器に分類される焼き物と言えばなんとなく感じを理解して頂けると思います。アルカリや鉄分の多い粘土を原料にし、1200℃~13000℃の高温で長時間焼成します。陶器と同じように、透光性はありませんが吸水性は陶器よりも少ないです。叩いた時の音が陶器の鈍い音に比較して高く硬く澄んで磁器に似ている事も陶器との違いの特徴の一つです。 |
8.ボーンチャイナ |
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ボーンチャイナは『骨灰磁器』などとも言われる磁器の一種で白い磁器を焼くことが出来なかったイギリスで18世紀に開発されました。牛の骨の灰(ボーンアッシュ)を原料に加え酸化炎で焼成することにより柔らかい白に焼きあがります。
一般の磁器に比較して低い温度で焼成し、絵付けした顔料が釉薬の下に溶け込みますので使用出来る顔料が多く華やかな絵柄をつけることが出来ます。ただし、一般の白磁器に比べ低い温度で焼成され、シンクイン化しますので、表面が柔らかくナイフやフォークなどで傷が付きやすいと言う短所ももっています。また、ボーンチャイナは一般の白磁器に比べ急激な温度変化に20~30%弱いことが解っています。 |