萩焼の特徴 |
1.貫入(かんにゅう) |
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様々な焼物の表面に細かいヒビのような割れがあるのをご覧になった方も多いと思います。そのヒビのような割れを『貫入』と言います。貫入は焼成時に生地と釉薬の収縮率の違いから生じる表面のヒビ割れを言います。焼成後、目的とする焼物を急激に冷やすとヒビ割れが多く大きく目立つように現れ、この焼成後直ぐに現れる貫入を直接貫入と言い、冷却が完全に終わり後に現れる貫入を経年貫入と言っています。貫入は時に焼物の欠点とされる事がありますが、萩焼や薩摩焼などでは貫入が焼物の一つの魅力とされ、茶人の間では萩焼の貫入は『茶慣れ』と高く評価されています。萩焼に用いられる鉄分を多く含み可塑性に富んでいる陶土は防府市の大道(おおど)で採掘されますが、この陶土に釉薬を施し焼成すると無数の細かい貫入が生じます。 |
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2.萩の七化け |
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貫入から茶渋や水分が長い間に少しずつ浸み込み、茶碗などの陶器の色調が少しずつ変化することを『萩の七化け』といいます。したがって使う者にどのように器の色合いが変化していくのかは全く予想できるものではありませんが、茶人たちは長い間使い込む事によって生じる『萩の七化け』を貫入と同じように楽しみ珍重しました。 |
3.割り高台(切り高台) |
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高台とは一般的には糸尻また糸底と言われる碗や皿・鉢の底の台となって食卓などに直接触れる部分を言います。その高台が茶碗を鑑賞する際の重要なポイントの一つです。
朝鮮人陶工によって始められた萩焼と萩焼の茶碗には粉引手・刷毛目・三島手・伊羅保などの朝鮮半島の陶器である高麗茶碗の流れを汲む風合があり、高台にも割り高台とか切り高台と言われる特徴を持っています。
萩焼の多くの陶器に高台の一部分を切り取った割り高台が見られますが、削り方や大きさは様々ですし、削りを施していない高台も存在します。 |