3.釉薬(上薬)の色による分類 |
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釉薬により、現れる色が異なりますが、焼成の際の炎に含まれる酸素の量により同じ釉薬でも仕上がりの色が異なります。酸素を充分に含んだ炎を酸化炎、酸素をあまり含まない炎を還元炎と言います。 |
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1.自然釉 |
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燃料の薪の灰が焼成中の作品の全体や一部を覆い、それが融けて釉薬化したものを言います。結果的には灰釉と同じですが、人為的に灰を掛けた釉ではなく『自然に掛かる』ため自然釉と言います。
須恵器や中世の信楽焼や常滑焼など、本来は釉薬を用いない焼締の炻器に見られることがあり、それが魅力・見所にもなっています。 |
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2.緑釉(りょくゆう) |
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酸化銅を呈色剤とする釉薬で、銅緑釉とも言います。酸化炎焼成で緑色に発色しますが、高火度釉と低火度釉があり、高火度釉は織部などに、低火度釉は古代の三彩や緑釉などに用いられました。 |
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3.黄釉(おうゆう) |
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灰釉に含まれる微量の鉄分が酸化して黄色く発色したものを言います。 |
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4.鉄釉(てつゆう) |
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呈色剤に鉄分を利用した釉薬で、鉄分の比率で仕上がりが変わります。鉄分の含有率の低いものに、青磁釉、黄瀬戸など、10%前後のものに天目釉、飴釉、鉄砂釉、瀬戸黒などがあります。 |
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5.長石釉(ちょうせきゆう) |
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主成分は長石である釉薬で、乳白色になり鉄絵などの下絵付も出来ます。志野がその代表的なものです。 |
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6.瑠璃釉(るりゆう) |
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酸化コバルトを長石釉に配合した高火度釉で、鮮やかな藍色に仕上がります。日本では磁器の製造の始まりと同時に有田で始まりました。 |
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7.白磁(はくじ) |
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磁器の一種ですが、カオリンに長石や珪石を混ぜて白い生地を作り、そこにカオリンで出来た透明な釉薬を施し高温で焼成します。 |
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8.青磁(せいじ) |
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磁器の一種ですが、生地と釉薬中に1~2%含まれる酸化第二鉄が還元炎焼成により還元し酸化第一化鉄になり青緑色に発色したものを言います。酸化炎焼成などで酸化して黄緑色になったものや、茶褐色になったものも広く青磁と呼ばれています。
朝鮮では高麗青磁が有名で、日本では有田焼に始まり各地に広がりました。 |
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9.柿釉(かきゆう) |
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鉄を主成分とする鉄釉の一種で、酸化炎焼成で柿色に発色するものを言います。 |
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10.辰砂釉(しんしゃゆう) |
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銅は高温では気体になりやすく、それを防ぎながら還元炎焼成して独特な血紅色に発色させます。
銅紅釉とも言われ、さらに釉調により桃花紅・火炎紅・牛血紅・祭紅・宝石紅などと分けられます。 |